刑法性犯罪の改正実現に向けて
性犯罪や性虐待、レイプなどについて書かれた記事や文書を読んでいると「魂の殺人」や「魂が傷つく」等の表現をされていることに気がつく。それは日々祈りを深めようとしている私たち修道者にとっては、とても耳になじみやすく、それこそ「霊と真理を尽くして祈る」モチベーションになっている事柄だ。そして、法律や政治、経済など、主に目に見える世界の中で起こる現実を扱うフィールドでは、やや歓迎されない空気を感じる。
しかしながら性虐待や性犯罪を受けた方々は現実にこの社会に生きている。
被害を受けた女性からよくうかがうフレーズがある。「私たちの傷は外から見えないからつらい。」時に彼女たちの傷は外から全くわからず、「どうしてあの子はあんなこともしないのだろう」「どうして彼女はこんなことをするんだ!」とぶしつけに思ったり、言ったりしていないだろうか…?
私たちが支援していく中で、ご本人からお話をうかがったり、専門家からの研修を受けて初めて被害者の方々の人知れぬ苦しみ(それは一生をかけても癒されず深刻である場合が多い)を理解できることがある。特に、このフィールドは理解が遅く、又システムが整っていないと日々感じる。
だからやっとの思いで立ち上がった被害者の思いを早急に審議して頂き、理解が進むように切に祈っている。
「刑法性犯罪の改正実現に向けた要望書」の一部
「平成29年3月7日に、政府は刑法性犯罪の改正案を閣議決定しました。改正案が今国会で成立すれば、明治時代の制定以来100年以上大幅に変わることがなかった刑法性犯罪の改正が実現されると私たちは大きな期待を抱いております。
しかし、報道によれば衆参両院法務委員会において、刑法性犯罪の改正案の審議が組織犯罪処罰法改正案の審議の後になる可能性もあることを知りました。審議の状況によっては今国会期間中に刑法性犯罪の改正案の審議が行われないまま継続審議になってしまうのではないかと大きな危機感を抱いております。」
(性暴力禁止法をつくろうネットワーク)
「刑法性犯罪」について
性犯罪は1907年の刑法制定以来、大きな改正が行われておらず、厳罰化を求める声が出ていた。 改正案要綱では、「女子を姦淫(かんいん)」する場合を対象とした現行の強姦(ごうかん)罪を改め、被害者が男性の場合や性交の類似行為も対象とし、罪名を「強制性交等罪」に変更。法定刑の下限を懲役3年から5年に上げる。
また、強制わいせつ罪などを含め、被害者の告訴がないと起訴できない「親告罪」規定を外す。親などが影響力を利用し、18歳未満と性交した場合の処罰規定も新設する。
■刑法改正案のポイント
・強姦(ごうかん)罪を「強制性交等罪」に改め、被害者を「女子」以外にも拡大。「姦淫(かんいん)」だけでなく類似行為も処罰対象に
・同罪の法定刑下限を懲役3年から5年、同罪に関する致死傷罪は懲役5年から6年に引き上げ
・同罪や強制わいせつ罪などを非親告罪に改め、被害者の告訴不要に
・監護者が影響力に乗じて、18歳未満にわいせつ行為や性交をした場合の処罰規定を新設
・現行法では強姦と強盗を同時に犯した場合、どちらが先かで刑罰の重さが異なるのを、順番は関係なく「無期または7年以上の懲役」に統一
(「性犯罪の厳罰化」今国会提出へ 性暴力の実態とは隔たり 東京新聞 2/22)