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女性とともに -Hacer-

人の尊厳の擁護と憲法、そしてわたしたちの心のありかた

2017年11月11日 | CATEGORY - 女性とともに

12-11-27 富士朝景

 

日本カトリック正義と平和協議会主催の講演会「人間の尊厳を擁護する政治と憲法」(講師中野晃一さん・上智大学政治学)に参加しました。講師の先生が学者である上に市民活動家であるという理由からか、とても分かりやすく尚且つ熱い講演会でした。

 

昨今の政治家は内外問わず、理屈や真実に対してどの程度敬意があるのかが疑わしく、現在の動きは理屈が通用しないという感想を述べられてから内容に入っていかれた。

 

日本国憲法は「理想を現実にする決意表明、誓い」であって特に前文には崇高な理想が述べられている特異な文書。悲惨な戦争体験をした時代の決意表明は、多くの現代人にとっては重要ではないかもしれない。権利の章典であり人権規定である。

 

押し付け憲法ではない「戦後レジームからの脱却」や「日本をリセットする」などといった改憲を望む人たちの言葉からはアメリカからの押し付け憲法であるから日本独自のものをといった論理をよく耳に入ってくるがそうではない。私たちが社会福祉の仕事をするうえで根拠となる憲法25条の生存権は、マーシャルT.Hによれば社会的権利に属する。福祉国家の成立当たっては、その前代段階として市民権を獲得するための長い道のりがあった。まず18世紀に獲得されたのが「市民的権利」(言論、思想、身体、個人的自由の保障)次いで19世紀には政治参加の権利を保障する「政治的権利」が獲得され、20世紀に「社会的権利」が獲得され、生活福祉における権利が保障されることとなる。アメリカの憲法には社会権はなく、それ故国民皆保険ではない。日本の社会件に関してはむしろドイツのワイマール憲法から影響を受けている。権力者の暴走を規制するものなので、権力者が押し付けれていると感じるのはむしろ正常。

 

70年経っているのに一度も改正されていないので古いというのはおかしな論理 日本国憲法はきわめてコンパクト(英語に翻訳すると5000語弱、一番多いのがインドの14万6千語で、平均は2万1千語)で特に政治制度に関する記載が少なく権利に関する記載が多い。日本の公職選挙法に当たるものなどが外国には憲法に記されていて、そういう意味では何度も改正されてきている。

 

憲法とは何か? Constitutionには2つの意味があって「憲法典」(テキスト)と「憲法体制」がある。例えば憲法典が根拠になるが、実際には自衛隊がある。憲法は解釈、他の法令、学説などが憲法体制を作っていく。憲法体制は比較的は変えやすい。だから集団的自衛権は閣議決定した。憲法体制を変えていくことによって憲法典を変えていこうとしている。憲法が誓いであるということは信仰とオーバーラップしていく。

 

非立憲的態度が世界的に蔓延している例えば残業代ゼロを例に挙げると、会社による労働法規の違反がある。違法行為が蔓延しているので現状に合わせて合法化しましょうという意見が出てくる。人々は誓いたくないのである。決意表明を、現状レベルに合わせていきましょうという動きが出てくる。

 

わたしたちは  政府と同調していると何も言われないので、声を上げにくくなってきている。しかし生活の場から声を上げる人が増えてきた。

 

私たちの現場は日本においては、憲法25条を根拠にして動いている、しかしながらこちらに来られる方々は自分に生存権がある事など教えてもらえて来なかった方々が多い。又生存権があるにもかかわらず、自ら命を終わらせたくなる気持ちになる方がおられる。こんなにも人権が守られているはずの国でなぜこんなにもおいつめられてしまうのか?昨日来られた方は小さいころから両親から虐待を受けてきて、二十歳を過ぎてやっと家を飛び出すことができた。入所されてからは、可愛らしい顔を「変えたい、変えたい」とずっと言っておられる。理由をきくと、自分を虐待してきた母親にそっくりだからとのこと。今まで家族や周囲の方から、人としてもらえるはずだったのに足りなかった愛と権利を、今これからどの様に私たちが彼女たちに伝える事が出来るか…私たちには重すぎるほどの任務だと思う。しかし祈りの中で感じるのは、私たちがあるべき姿になるために、私たちの源泉にもどること、それをしっかり腹におとし、真剣に生きていきてくこと。そうする事よって、彼女たち何かが伝わるのではないか。そして私たちの源泉とはエウカリスチアであり、又日本国憲法の前文でもあるのではないかと思う。

 

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